日本テトラパック株式会社様

新市場の創造に向けて
アーモンドミルクの価値を正しく伝える

Outline

概要

液体食品用の紙容器を手掛ける日本テトラパックとのプロジェクト。
アーモンドミルクは、ヘルシーで美味しい飲料として欧米を中心に市場が大きく成長中の注目のカテゴリーで、日本においても拡大する可能性があると考えていました。
2013年に最初の製品が上市され、数社から製品が発売されたものの、生活者のアーモンドミルクの認知は低く市場が小規模に留まっていたため、日本でのアーモンドミルクの市場の活性化と確立を図るべくご依頼いただきました。

Process

戦略/実行

ITGならではの捉え直し

我々が最初に着手したのは、現状を正確に把握することです。なぜ大手メーカーから販売され店頭にも並び、広告・SP・パブリシティ施策も展開されているにも関わらず、伸び悩んでしまっているのか。そこには生活者が実生活の中では受け容れられない何かしらの壁があったのではないか?と考えました。

ターゲットインサイトの深堀り調査を進めていくと、意外なことがわかりました。「名前は聞いたことがあるけれど、よくわからない」という回答が圧倒的に多く、さらに日本人が「アーモンドミルク」と聞いて想起するのは、実は子どもの頃から慣れ親しんできたアーモンドのお菓子類や牛乳にアーモンドフレーバーを添加したものでした。ゆえに「アーモンドミルクは甘くてカロリーも高いもの、牛乳とアーモンドを混ぜたもの」という誤解が生じていたのです。この誤解を抱えている生活者に対して、セレブモデルやタレントが「美容の秘訣はアーモンドミルク」と訴求していったところで受け容れられるはずはなく、たとえ最近話題の美容・健康法と報道されたとしても、深層心理で敬遠してしまい自分の生活に取り入れるというアクションには到底至らない状態でした。

「まずは生活者の誤解をしっかり解く」という点を軸に据え、コミュニケーションをしていきました。

具体的な取り組み内容

アーモンドミルクの誤解を解くために、「健康に害のあるものなどは入っていないこと」、「植物性でカロリーもコレステロールも糖質も低いこと」がシンプルに伝わるキーコンテンツを整理しました。

「アーモンドミルク=アーモンド+水」であることを基盤にして、「アーモンドミルクの作り方動画」と「他ミルク(牛乳、豆乳)との比較データ」をセットアップ。作り方動画は、作って飲んでもらうことが目的ではなく、工程を可視化することで誤解の解消に繋げることを目的として「アーモンドと水、たったこれだけ」であることを視覚的に訴えた。また栄養面で優れていると認識されている他ミルクと比較することで、生活者の懸念点であったカロリーやコレステロール、糖質などの面でアーモンドミルクがむしろ優位であることを図表で示しました。

このキーコンテンツを中心に据え、ターゲットへの情報発信をメディアや店頭でも展開していきます。
医師や管理栄養士などの有識者による啓発団体を設立し、コンテンツ開発や情報発信のベースとし、アーモンドミルクの魅力を機能面や摂り方・楽しみ方などさまざまな角度から伝え、時には協力者・パートナーとして共創を進めました。

「健康に害のあるものなどは入っていない、植物性でカロリーもコレステロールも糖質も低い」からこそ生活者にメリットがあることを医師がひも解きし、日常の料理に代替使用することで、ヘルシーで香ばしい風味が楽しめることを管理栄養士や料理研究家・愛好家が推奨すると、そこに注目したシェフやオーナーがレストラン・カフェ店舗でメニュー化、大手流通はアーモンドミルクをテーマにした棚づくりを展開しました。これらの事象が重なり、大きなうねりとなり、メディア各社での報道が相次ぎました。

現在では大手カフェチェーンや流通各社のPBとしてもアーモンドミルクが発売されているほか、アーモンドミルクを使用した食品の発売などその製品領域も拡大しています。さらに、植物性飲料が多く登場している昨今でも、「第三のミルク」としてアーモンドミルクの存在にゆるぎはありません。

結果として、市場規模は、日本市場に登場した2013年から10年間で販売金額は約22倍、販売量は約30倍となり、現在も拡大・伸長を続けています。